悲しい話やなあ。自殺した親友の彼女を愛してしまい。その彼女は精神を病んでしまい。そして彼女も死んでしまう。
もうひとつ、同時に進んでいく大学の同級生との恋愛もあって。恋愛というのか。それがちょっと救いになりそうなんやけど。結局は自分の居場所が分からない主人公。ううむ。

1970年前後っていう時代背景もあって、なんとはないやりきれなさと懐かしさと・・・そのほかいろんなものがまざりあった感じやったな。

いつかの新聞の本の紹介で読んだんやけど、この小説は村上春樹の著作の中でも異質なものらしいです。たしかに今まで(ちょっとだけやけど)読んだものは、現実をちょっと離れたような、変わった雰囲気のものが多かったんですが。この本に関しては(「突撃隊」とか、妙な人物が出てくるには違いないけれど)「変わった雰囲気」というのはないですね。

ただ、精神病の療養所が出てくるんですな。主人公が愛した親友の彼女が入っていて。そこで心の交流が生まれるねんけど。もうほとんど恋人といっていいくらいになるねんけど。
そこでの穏やかな空気が、外に出たとたんに溶けてしまうんですね。主人公の中で。で、どちらが「まとも」なのかを考えてしまうんですな。そこら辺の視点は、まあ(小説では)よくある話やけど、ちょっと村上春樹らしいかなと思いました。勝手に「らしい」と付けるなよ。

ともかく、ベストセラーになっただけのことはある。とても面白い小説でした。主人公に共感できるかどうか(それどころか、登場人物のどれに共感できるのか)は別として。
あ、でもこのなげやりなような、流されていくような、そういうところって、あるなあ。
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