知的障碍を持つ32歳の主人公が、手術によって天才になる。頭が良くなったことによって(それも驚異的に)得たもの、失ったもの。そして主人公の運命は。という話。ちょっとSFチックであり、でもテーマはSFではないところがミソ。

世評で「感動しました」とかいうのはほとんど信用しないんですが、読んでみないことにはわからないのも確かなので、読んでみまして。まあだいたい結末は予想どおりなんですけどね。

手術によって常人以上に頭がよくなって、それがどれほどのことなのかという経験がないだけに、周りに戸惑いを与えてしまうんですね。もちろん本人も戸惑ってしまうわけですが。でもそれがこの小説のテーマではないんですね。

人間は頭が良ければそれでいいのか。とか、そういうことをあつかった教育的な話でもなくてね。

哲学的な内容にいきそうで、いかないままにお話は終わってしまうんですな。そこらへんがちょっと残念ではあるんだけど。そこまでいかないことで、ともすれば平板な「頭の良さと人間であることの意味」が前面に出ているような気がするなあ。

物語は主人公の手記の形で進んでいく。稚拙な文章が徐々に高等な文章になっていくというのは、なかなか面白かったな。でも、だからこそ結末の予想がついてしまったのだけれど。
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