初めて聞いたマーラーは、レコードで、バーンスタイン指揮の「巨人」だった(ニューヨークフィル)。以来、その演奏が自分の中でスタンダードになってしまったのだなあ。そのレコードは3枚組で、1枚目が「巨人」、2枚目、3枚目が「復活」だったのだ。当時はレコードが一枚2400円になろうかという時代で、マーラーがそろそろ流行り出した頃でもあった。しかしマーラーというと曲が長い。1枚に収まる曲の方が少ないくらいだ。そしてどういうわけかクラシックのレコードの場合、2枚組になったとしても割安になることはなかったのだな。これがポピュラーミュージックのレコードになると、2枚組になると3000 円とか3600円とかになるのに、クラシックの場合はしっかりと4000円とか、4800円とかになるのだ。
月々の小遣いがちょうどレコード1枚分、というような身にとっては、2枚組のクラシックレコードを買うのは勇気がいったのだ。そんななかで、なぜか「3枚組4600円」というレコードが売られていたのだな。それもシリーズで。ほかのものには目もくれず(ほしくても買えなかったけど)、とにかく買ったのがマーラーだったのだ。

そういう思い出話はともかくとして。
バーンスタインは晩年に、マーラーの交響曲の全曲録音に挑んでいた。それもいろんなオーケストラを振り分けて、ライブを中心として、というまことに贅沢なというか、こういう企画が許されるのはオレだけだろうという鼻息が聞こえてきそうなシリーズだった。
その全曲録音は、第8番を残して、バーンスタインはこの世を去ってしまった。出来上がっていたら、人生2度目の全曲録音という快挙やったのにねえ。
第1番「巨人」は、たしかFMでも演奏会の模様が放送されたはず。わたくしもエアチェックして、なんども聞き返した。
楽譜から音楽を再創造する、という以上のものをやってのけている。ゆっくりとすすむところは、止まりそうなくらいにゆっくりになっていって、あれれれ、どうなるの?どうなるの? とはらはらしてると、一気に爆発して、こんどはアクセルがいっぱいに踏まれてクライマックスに突き進む。なんてことを、何度も繰り返すので、聞いてる方は息切れしそうになるのだが、マーラーを聞いている限りは息切れするくらいがちょうどいいのだよ、わしには。

はっきりいって、恣意的、扇情的、情念の破裂、なんとでもいえそうなめちゃくちゃな、最高にドロドロしたマーラーが聞ける。そしてその指揮にぴったりと食いついて、まるで一つの楽器のように指揮者の意向を再現させてみせたオーケストラもすごい。どれだけリハーサルを積んだんやろう、と考えると、ちょっとかわいそうな気もするが(^◎^;)
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