本の題名は「はなうた日和」。山本幸久著(集英社)。こういう題名にひかれるっていうのは、どういうことなんやろう。なんとなく、安らぎというか、癒しを求めていたのかなあ。山本幸久という人がどんな人か知らんかったし。でも本の装丁(黄色い地平線に男のひと(?)が立ってる)がきれいやったし。なんとなく癒されそうな気がして。あ、やっぱりいやされたかったのか。
まあそんなわけで読んでみたら、これがすばらしくよかった。連作もののような短編集なんやけど。それぞれが別々の話なんやけど、ちょっとずつつながってるところもある。テレビヒーローの敵役のスカイスイカ閣下とか、世田谷もなかとか。それがまあいわゆる狂言回しのようになっていて。で話の筋はどおってこともないねんけど。どおってこともない話を読ませるにはなにしろ文章力がいる。その文章力がとってもあるんですね。うまいなあ、と思いつつ読んでるといつのまにかその世界に入り込んじゃってて。やられたなあ。
そして最後には、胸にぐっときてしまうんですね。ああ、久しぶりに胸にきたなあ。
「私は死ぬのは恐くありません。」
もうこの先は、自分で読んでください。このフレーズは使い古されているようで、なかなか心には響けへんねんけど、今回は来たなあ。わしも年をとったか、と思ってしまったが。
あんまりよかったんでちょっと著者を紹介しておくと。2003年にすばる新人賞を受賞した人で。1966年生まれやから、そんなに若くもない。といって中年といったら失礼やな。この小説の主な舞台となっている世田谷に住んではるそうです。世田谷に詳しい人、東京に詳しい人なら、僕よりもっと面白く楽しめるんやないかな。
「はなうた日和」は大学の図書館で借りてきました。実はもう1冊、いい題名やなあと思ってちょっと読んでみてんけど、内容があんまりぱっとしなかったんで、その場で1章だけ読んで借りて来なかった本もあったんやけど。名前が思い出されへんのだ。まあ思い出されへんぐらいの本やったってことやねんけど。備忘録で「面白くなかった」って書いておきたいねんけどなあ。先日、新聞の広告にも載ってたし。思い出したらかいときます。
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