野球が毎日あるから、本を読む時間は極端に減っているのだよ。毎日、ほぼ3時間、ことによるとそれ以上はテレビにかじりつき。あるいはラジオに。おかしいよなあ。そんなわけで読書時間は一時期に比べてガクッと減りまして。
「チーズはどこへ消えた?」(扶桑社)は大学図書館で見つけて、その場で読んでしまったよ。ベストセラーになったんやったな。とくにビジネスマンの間で。で、読んでみたら、何のことはない、ビジネス書、ビジネスの啓蒙書やんか。間に寓話がはさまったディスカッション本、やね。で、寓話が「チーズはどこへ消えた?」となるわけで。まあ、そういうこともあるやろうけど、という程度の話でね。その程度の話を、「いい話や!」と盛り上げるのが前後のディスカッション、とこうなるわけですな。この前後のディスカッションがいかにもうさん臭いので、本の質を低めてると思うけど、この部分がないとこの本を書いた意図が伝わらないわけで。という矛盾をはらんだ(大げさな言い方。これがこの本の本質だ)本でありますな。読んどいて損はないか。でもこの本を読んで「まさにそのとおり!」と思う人は、そうとうおめでたい人やと僕は思うけどな。
で、本題に入りましょう。読みかけてはやめた本、途中で挫折した本が次々に出てきまして。なんだかなあ。最後まで読んだら、「うわっびっくり!」という結末が待ってるのかも知れへんけど、どうも先に進みようがないっていう本。あるいは、じっくり読み進めているうちに返却日が来てしまって。延長して借りようかどうしようか迷ったけど、「とにかく最後まで読みきらないと、気持ち悪くて寝られへんよお!」とも思えないので、途中まで読んで返した本。そゆのが3冊ほど。
前者の1冊目。ポール・オースターの「リヴァイアサン」(柴田元幸訳)は結構有名な本なんとちゃうかな。日本ではオースターはよく読まれてるみたいやし。この前久しぶりに本屋に寄ったら、オースターの本が文庫本で4,5冊も並んでてびっくりした。こういうのは図書館通いをしているだけではわかりませんな。
舞台はニューヨーク。いきなり友人が路上で車の爆発にあって粉々になってしまうというところから始まって。それはどうやら自殺?という謎とともに、その友人と自分とその周りの人たちの話が始まるわけですな。どうして路上で爆破などしたのかという謎に迫っていく・・んやろなあ。途中でやめたから分からんけど。
いきなりの衝撃シーンと、それに続く警官とのやり取りとかまではよかったんや。お、ちょっと面白そうやん、これからどうなるの?みたいな期待が膨らんでいってんけど。話が進むに連れて、だんだんだらだらした展開になっていってね。話に付き合っていく(ほんまにそんな感じがした)のがしんどくなってきてね。なかなかその爆破した本人の話に行き着かないのも、なんだかなあっていうかんじやってんけど。半分まで読んで挫折。最後まで読んだら「おおっ」とか思ったんかなあ。
最初に衝撃シーンを持ってきて、そのあとにモノローグ的にいろんな話を展開するっていう手法は、まあよくあることやけど、どうもあざといような感じになってきてね。こういうの、前にも読んだなあと思って考えたら、そうそう、郷ひろみの「ダディ」を思い出してしまったよ。もちろん、あんなにつまらなくはないけどね。比べてすみません。
その2。塩谷陽子著「ニューヨーク 芸術家と共存する街」(丸善ライブラリー)は、ニューヨークでの「芸術家」に対する制作の話と、実際にそこで活動する芸術家たちの話。だと思う。途中まで読んだ感じではね。
始めの、「芸術家証明書」とかの話はまあ面白かったけど、実際の芸術家を紹介する段になると、どうもどこかの大学の入学案内か、住宅団地の宣伝のようにも思えてくるし、また、「生活ノウハウ本」のようにも読めてしまう。つまり「これからニューヨークに行って生活したい芸術家たち」のために書かれているっていうか。それでも面白い本っていうのはあるんやけどね。この前読んだ「なるにはブック」みたいに。そこまではいけへん。まあそういう位置づけの本でないからね。というわけで、途中から面白みがなくなった。
もう一つのパターン。面白かったけど返却しちゃった。古井由吉の「辻」(新潮社)は、面白かったですよお。古井由吉っていままで読んだことなかったんやけどね。雑誌「群像」に載ってた「白い男」っていうのを前に読んで。へえーっ、こんな風に書く人が居てるのかと思ってびっくりしたんやな。しかも年配の人らしい。
「白い男」っていうのは、戦争中、焼け野原を歩いていた、肌の白い男の人の話。ってこれだけ書いただけでは面白みも何もないね。物語の最初の方はなんだか哲学書か学術書を読んでいるような気分にさせるねんけど、途中から戦争中の話になって、あれれ、と思ってたら最後の方で「ぞくっ」とさせられる。その持って行き方というか、バランスの取り方が今まで見たこともないようなものやったのでびっくりしたんですね。
それで古井由吉っていうのが僕の中である位置を占めることになったんやけど、図書館の新刊で「辻」を見つけて、ちょっと読んでみようと思って読んだんですな。最初の3編ぐらいまで読んだかな。あ、これは短編小説集で、ひとつひとつは雑誌に掲載されたものです。いちおう連作なのかな。題名の「辻」が、それぞれの話のキーワードになってる。
「白い男」同様、最初はなんだか哲学書みたいでね。「辻」に関する定義か思いかがたらたらと書かれていて、なんのことやらと思わせられる。と、途中から現実の話になって、でもこれって現実?と思ってるうちに、この作者の世界に入ってしまうんですね。やられたなあ。でも気をつけて読まないと、自分がこの世界の中のどこにいるかが分からなくなりそうになる。だからじっくり読みたいねんけどな。また借りる機会もあるやろう。ほかの作品も読んでみたいし。
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