当たり外れが多かった3冊。アガサ・クリスティーの「牧師館の殺人」はミス・マープルが初めて登場した作品。イギリスの片田舎。噂話に花を咲かす妙齢のレディたち。その中で、ちょっと嫌われ者の教会教区の役員の大佐が殺される。しかも牧師館の中で。さて犯人はだれ? とまあ、いかにもクリスティといった話。
テレビドラマで観たはずやな。例のごとく忘れてるけど。だからまあ楽しんで読めたけど。
ミス・マープルが見事な推理を働かせるんやけど、どうも主人公は村中を右往左往する牧師先生であって。まあこの人の語りで話が進んでいくということもあるねんけど。それがポアロシリーズのヘイスティングス以上なのだな。
あとがきを読んで納得したけど、もともとこのミス・マープルを主人公にしたシリーズを書こうとは思ってなかったみたいでね。これが第1作やけど、第2作はそれから30年後に書いたっていうからね。ただ、やっぱりこのミス・マープルは、ポアロとは全く違う魅力にあふれていて、シリーズになるのが分かるね。
推理小説としては、伏線というか、いかにも犯人でありそうっていうのがゾロゾロと出てきて、ちょっとややこしすぎる感じ。もっとすっきりできたらねえ。まあ、そのいろんな人間模様を書き出すっていうところがクリスティの楽しみなんやけど。
「国家の品格」はベストセラーになってるし、いい本やってほめる人も多いから読んでみたんやけど。はっきりいってこんなに腹の立つ本は久しぶりやったな。最後まで読んでしまったけど。最初の数ページをめくった時点で、いちいちのことに反論したくなってしまったであるよ。
今の市場主義はダメ。共産主義ももちろんダメ。だったら何がいいのか。それは「武士道精神」である。だと。エリートが主導権を握って下層の人々を治めるのが一番と思ってるのだな。大衆はバカばかりだから大衆の言うことを聞くような民主主義もよくないと。それってお隣の国によく似てますけど。
日本が世界の中で一番美しくて他の国はダメな国ばっかりなのだと思ってる人には、我が意を得たりの本なのだろうなあ。これがベストセラーになってることに、げんなりしてしまったであるよ。
「むだに過ごしたときの島」は、イタリアの作家ガンドルフィのファンタジー。題名から想像して、おとなしめの、思索にあふれた作品であろうと思ったんだけど。見事に裏切られてしまった。ちょっと残念。
学校の社会見学で行った廃鉱の中で、迷子になってしまう主人公とその親友。暗闇の中でどこかに落ちてしまう。そこは「むだに過ごしたときの島」で、地上で(この世で?)迷子になった人やものが集まってくる島だった。
そこに集まってくるのは、物質的な「もの」だけじゃなくて、むだに過ごした時間や気持ちも集まってくる。だから「よくない」むだな時間や気持ちは悪いところに集まって、人食い族になってしまう人もいる。もうこの辺から「?」の世界。しかもそういうよくない「むだ」を一番多く作ってるのは日本人なのだそうだ。とほほ。分かる気もするけど。
「ムダだムダだ」といいつつ時間を過ごしていると、よくない「ムダ」が集まってくるのだと。
題名からして、のんびりしたファンタジーものと思ってたのに。人食い族が出てきて。一気に冒険活劇小説になりましてね。その上主人公の女の子が「こっちの世界のよくないムダ」をなくすために立ち上がる、なんて、もうヒーローものじゃないですか。どうもねえ。話の進み方が出来すぎていて、ちょっと引いてしまいましたな。
ひとつだけ。小説の書き方がちょっと面白かった。この物語を誰かが書いているっていう設定。しかも書き手は行方不明になっているらしい、という設定。最後に謎が解けるねんけど。こういうところは面白かってんけどなあ。おしいなあ。
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