こちらも久々に、本の話なぞ。
一言でもええから感想を書いておいた方がいいと思う。あとで「どんな本やったか」がわかるように。そう、読んだ本読んだ本の内容が、どんどん無くなっていくような気がするのだ。で、一度読んだ本は、あんまり2度とは読みたくない。新しい本を読みたい。読んでない本を読みたい。
今、いつも手許に持って歩いている、サマセット・モームの「サミング・アップ」(新潮文庫)に、同じようなことが書いてあった。一度読んだ本は、二度とは読まないのだと。読み返すより、新しい話を読みたいと思うのだと。同じだ。
ただ、同じ文章の中で、
「どんなにつまらないと思っても、最後まで読まないと気がすまない。飛ばし読みもできない」
と書いてあるが。まあ確かに、わたくしも同じような気持ちではあるんだが。でもモーム先生、あなたは「読書案内」や「世界の10大小説」で、
「つまらないと思うところや退屈なところは、飛ばして読めばいいのである」
って言うてはったやないですか。ほんま、たのんまっせ。

で、この「サミング・アップ」なんだけど、さっさと読んでしまいたいんだけど、なかなか先へと読み進ませてくれない。なぜというに、「要約すると」という訳語どおり、いろんな物語のエッセンス、警句、ジョークが満載で、それも1文に1箇所以上はそういう、後世に残るような名言がちりばめられていて、どの文章のどのセンテンスも、それこそ「読み飛ばす」ことができないのである。いきおい、読む速度は遅くなり、わたくしとしては異例なくらいに、丁寧に丁寧に読んでしまうのである。
もちろん、そういう風に読んでいいと思うのだけれどね。ただ、図書館の貸出期間はきまっているのだ。うむむ。



そんな「サミング・アップ」はほっといて、というか、どうせ最後まで読めそうにないので(これからじっくりゆっくり、何度も借り直して読む本かもしれない)、その他の本を、つまみ食いみたいに読んでいるのである。

「日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか」(内山節・講談社文庫)は、どうやら「民族学的歴史観」というのを説明しようとしていたらしい(ああ、もう、読んでからかなりの日数が経ってしまったので、細かい内容が思いだせない)。
いつからか、「キツネにだまされた」という話を聞かなくなった。それは高度成長期に重なる。それはなぜか、という考察。
なんだけど。題名ほどのインパクトは、残念ながらなかったなあ。ちょっとありきたりというか。

「情報のさばき方」(外岡秀俊・朝日新書)は、副題に「新聞記者の実践ヒント」となっていて、朝日新聞の編集局長である著者が、どのように情報をさばいているか、を語ったもの。
情報のさばき方の(分析の仕方、ではない)ヒントになるかどうかはさておいて、「新聞ってこうやって記事を決めるのか、へえええ」という面白さはありました。

「キミは珍獣(ケダモノ)と暮らせるか?」(飴屋法水・文春文庫plus)
いや、これは面白いですよ。痛快というか爽快というか。あらゆる生き物の中で「楽しみのために」ほかの生き物を育てる(一緒に暮らす)のは人間だけである。そんな人間が「珍獣」を飼いたがる。珍しいケダモノ。そんなものが人間に「慣れる」わけがない。人間の身勝手さ、横暴さを告発するこの著者は、アニマル・ショップの店長である(^◎^;)。そして、この本に紹介してある「珍獣」について、「一度は飼ってみたい」とも書いているのである。なんという矛盾! しかし、それをも受け入れているところがとても気持ちいいのだ。
珍しい動物を買いに来て
「慣れますか?」と尋ねる客には、「だったら犬を飼え」と思うらしい(口には出さないらしいけど)。
動物と人間との関係。改めて考えてみませんか。ただの「自然を守ろう」じゃなくて。

「作家の誕生」(猪瀬直樹・朝日新書)は、評論なのかなんなのか。「作家」とはなにかを問い掛ける書、なのかなあと思っていたら、どうも最後の方になると、戦後日本のあり方みたいなことにまで言及してあって、どうも一貫性がない。個々の話は面白いところもあるんだけれど。
明治時代から戦後(三島由紀夫の自殺まで)を俯瞰して、「日本文学の歴史」ではなく、「作家の歴史」を考えてみようとしたもの。なんだろうけどね。
「作家」というのは、お金になる本を書きたかった。つまりは「流行作家」になりたかった。なのかもしれない。菊池寛も芥川龍之介も川端康成も、流行作家だった。まあね。
そういえば、芥川龍之介や川端康成は、日本史でもでてくるけど、菊池寛は習った覚えがないなあ。通俗小説は日本史には入らない? そういうところに切り込みたかったんやろなあ、著者は。しかし、範囲が広すぎて、消化不良。一冊の新書には荷が重すぎた。
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