合唱団ではだいたい最初に楽譜をもらうと、まずやることといったら「音とり」ですわな。中には優秀な、才能のある合唱団員も居てはって、パッと楽譜を見ただけですらすらと歌い出せる人というのも居てはりますが、だいたいは楽器、それもピアノかキーボード(音程がはっきりわかって、音が出しやすいもの)で、楽譜どおりに弾いてみて歌ってみる、というのが普通でしょう。最初は、音符を見ながら歌詞を見るのは難しいから、音名か階名(ドレミ)で歌うか、または「ままま」とか「ららら」とか、歌詞なしで歌ってみるのがだいたいの道筋で。

で、何回か歌ってメロディーがわかってきたら歌詞をつけて、さあそこからは楽譜に書いてあるそのほかの記号、クレッシェンドやらディミヌエンドやら、ピアノだフォルテだ、リタルダンドだ・・・・などとなっていくわけです。そうなると、もう歌は自分のものになって・・・・いかないんですね、これが。何週間か何ヶ月か、結構時間をかけて練習してても、音ははずれてしまうわけです。「メロディが覚えられへん」のですな。

で、なんで「メロディが覚えられへん」のかというと、最初の「音とり」のイメージがいつまでもつきまとってるんですね。なまじっか楽譜が読めるおかげで、「ミ・ミ・ファ」とかいう音程の所があると
「最初の二つは同じ音、その次はその前の音の半音高い音・・・・」というふうに音をとっているわけです。で、最初の「音とり」はその連続で、「3度上がって2 度下がり、5度と半音高い音に行き、しばらく休んだ後その1音下の音から歌い出し・・・・」とかやってるわけです。で、途中で長い休みが入って、次に歌い出すときは「このパートのこの音から音をとって・・・」などと、あまり聞こえないような音でも「とりやすそうな音」つまり「次に歌い出す音とよく似た音」を探し出して音をとる、なんてこともやりますね。

これは、まあ最初の「音とり」としては仕方がないのかも知れませんが、「音楽」とは言い難いものがありますね。(今、書きながら、しょーもないことをやってるなぁと思ってしまいました)
いい言い方をすれば「デジタルに音を歌っている」んですね。でも音楽っていうのは「音」そのものではなく「音と音とのつながり」でメロディができているわけだから、音をとってる間はメロディは歌えないんですね。まして人間は完全な「デジタル」ではないので(どこかを押さえたら必ず「ミ」の音が鳴る、ということはない)、完全に再現はできないと思います。

かく言うわたくしも、若いころは、というか、つい最近まで「音はとるもの」と思ってたわけでして。「訓練すればデジタルに音がとれるようになる。絶対音感を持ってる人も居るやんか!」って思ってました。いま習っている声楽の先生に出会って「メロディを頭で感じたら、音はとれるんよ!」って言われてから、歌い方、音の取り方が変わったんですね。

で、最近は無理に音をとろうとしないようにしようと思いまして、少々音がはずれてもええから、頭に浮かんだメロディを追っていくように努力してます。不思議とメロディをうたうようにする方が、音程が安定するようです。どんな難しい曲(調性が難しいという意味)でも、必然的な音楽の流れ(おおっ、かっこいい言い方だ!)があるはずで、それを追っていけばたいがいの曲は歌えるように思うんですが。(とは思っていても、相変わらず「音をとる」癖はなおりませんが (^◎^;))

合唱団で時々、「ここの音、どうやってとってはるんですか?」と聞かれることがあるんですけど、そういう難しいところに限って、あんまり「音をとってる」という意識がないので、
「勘です(^◎^)」
と答えるようにしてます。聞いた人は、まさかぁ、というような顔をしはるんですが、ほんまなので説明のしようがないですね。

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