【ある秘密】フィリップ・グランベール(野崎歓訳・新潮社)
フランスで言う「ゴングール賞」というのは、日本でいうとなにに当たるんだろう。直木賞? ともかく権威のある賞であることは間違いない。確かプルーストもとっていたような。ということは歴史的にも権威たっぷりということか。ま、権威がどうとかいうのは、本来、文学とは関係がないとは思うのだが、「高校生が選ぶゴングール賞」というのがあるっていうところが面白いなあ、さすがにフランスと、勝手に思ってしまうのだ。で、その賞を受けたのが本作。確かに、若い人に受け入れられるのがわかる。かつての、ナチや大戦を扱ったものに比べて、とても面白いというか面白さが前面に出ているような気がする。
ひとりっ子で病弱な主人公が、父と母の過去を探る、というのが物語の中心。主人公のぼくは、体の強い空想上の「兄」を頼りに生活している。だが、かつて実際に「兄」が居たことがわかる。しかも、母親違いの。では実の母と兄は、どうなったのか。
どこか「ソフィーの選択」も思い起こさせるストーリー仕立て。ミステリアスな部分も、成長しつつある主人公の話も、どちらも面白い。
で、この本、隙間が多いんですよね。実際の隙間。文章と文章の区切りというか、章の中でも5,6行が空白になってたりする。それは、読み手にちょっと考えさせる時間を与えてくれているのか、とも思う。
【雪屋のロッスさん】いしいしんじ(メディアファクトリー)
いしいしんじの短編集。ちょっと不思議でちょっと怖くて、ちょっと気持ちがあったかくなる話が続きます。それにしても。はじめの方こそ人間が主人公ですけど、だんだんおかしくなってくるところがいしい流かな。雪を降らせる「雪屋のロッスさん」ぐらいはまだいいが、「旧街道のトマー」って、道かよ(^◎^;)、とか「ポリバケツの青木青兵」とか、ポリバケツ?
それらが、違和感なく、境目なく話に登場する。ちょっとずつかなしい所もあったりするのが、またいいのだなあ。
【きらきら】シンシア・カドハタ(代田亜香子訳・白水社)
11歳の少女ケイティが語る、姉リンの生涯。作者は日系三世ということで、この話も日本人コミュニティが舞台になっていて、ところどころに、人種差別の問題も顔を見せるけれど、主題はあくまでも姉と妹の物語。姉をとおしてみる妹の世界観。それが成長していく過程が、本人の言葉で語られていく。最初は「わからない」ことが、最後になるにつれて分かってくる。よく読むと、その違いが出てきているのだな。途中で気がついたよ。物語としては、よく題材になりそうなもの。でも、そんなに暗い話にならない。途中、なんども笑ってしまったもんなあ。これが、ヤングアダルト第1作だということだけど。うまい。そして面白い。
フランスで言う「ゴングール賞」というのは、日本でいうとなにに当たるんだろう。直木賞? ともかく権威のある賞であることは間違いない。確かプルーストもとっていたような。ということは歴史的にも権威たっぷりということか。ま、権威がどうとかいうのは、本来、文学とは関係がないとは思うのだが、「高校生が選ぶゴングール賞」というのがあるっていうところが面白いなあ、さすがにフランスと、勝手に思ってしまうのだ。で、その賞を受けたのが本作。確かに、若い人に受け入れられるのがわかる。かつての、ナチや大戦を扱ったものに比べて、とても面白いというか面白さが前面に出ているような気がする。
ひとりっ子で病弱な主人公が、父と母の過去を探る、というのが物語の中心。主人公のぼくは、体の強い空想上の「兄」を頼りに生活している。だが、かつて実際に「兄」が居たことがわかる。しかも、母親違いの。では実の母と兄は、どうなったのか。
どこか「ソフィーの選択」も思い起こさせるストーリー仕立て。ミステリアスな部分も、成長しつつある主人公の話も、どちらも面白い。
で、この本、隙間が多いんですよね。実際の隙間。文章と文章の区切りというか、章の中でも5,6行が空白になってたりする。それは、読み手にちょっと考えさせる時間を与えてくれているのか、とも思う。
【雪屋のロッスさん】いしいしんじ(メディアファクトリー)
いしいしんじの短編集。ちょっと不思議でちょっと怖くて、ちょっと気持ちがあったかくなる話が続きます。それにしても。はじめの方こそ人間が主人公ですけど、だんだんおかしくなってくるところがいしい流かな。雪を降らせる「雪屋のロッスさん」ぐらいはまだいいが、「旧街道のトマー」って、道かよ(^◎^;)、とか「ポリバケツの青木青兵」とか、ポリバケツ?
それらが、違和感なく、境目なく話に登場する。ちょっとずつかなしい所もあったりするのが、またいいのだなあ。
【きらきら】シンシア・カドハタ(代田亜香子訳・白水社)
11歳の少女ケイティが語る、姉リンの生涯。作者は日系三世ということで、この話も日本人コミュニティが舞台になっていて、ところどころに、人種差別の問題も顔を見せるけれど、主題はあくまでも姉と妹の物語。姉をとおしてみる妹の世界観。それが成長していく過程が、本人の言葉で語られていく。最初は「わからない」ことが、最後になるにつれて分かってくる。よく読むと、その違いが出てきているのだな。途中で気がついたよ。物語としては、よく題材になりそうなもの。でも、そんなに暗い話にならない。途中、なんども笑ってしまったもんなあ。これが、ヤングアダルト第1作だということだけど。うまい。そして面白い。
この記事へのコメント
今度からこちらに来ればよいのですね(*^_^*)
「きらきら」をお読みになられたんですね。私も実は持っているんです。まだ開いてないんですけれど(^_^;)いい本みたいですね。ある方がブログで同じ作家の「草花とよばれた少女」を勧めていたのですが、そちらが見当たらず「きらきら」を読もうと思って。日系の先生に教わったことがあり、戦時中の話などに興味があります。私も早く読もうっと。帯に角田光代の推薦の言葉があり、彼女の「八月の蝉」を読んだばかりなので偶然だなと思いました。「八月の蝉」も面白かったですよ。いしいしんじって子供でも読めそうですか?
「きらきら」をお読みになられたんですね。私も実は持っているんです。まだ開いてないんですけれど(^_^;)いい本みたいですね。ある方がブログで同じ作家の「草花とよばれた少女」を勧めていたのですが、そちらが見当たらず「きらきら」を読もうと思って。日系の先生に教わったことがあり、戦時中の話などに興味があります。私も早く読もうっと。帯に角田光代の推薦の言葉があり、彼女の「八月の蝉」を読んだばかりなので偶然だなと思いました。「八月の蝉」も面白かったですよ。いしいしんじって子供でも読めそうですか?
2008/05/31(土) 11:12 | URL | Jenny #X8gfSewQ[ 編集]
Jennyさん(^◎^)
「きらきら」は、いい話すぎず、悲しすぎず、ふざけすぎず、というバランスを持った話だと思います。ぜひお読みください。角田光代さんの本は、まだ読んだことがないなあ。今度読んでみます。
いしいしんじは、さて、子供が読んでも面白いかどうか(^◎^;)。ちょっと怖いかも。わけがわからんかも(^◎^;)
「きらきら」は、いい話すぎず、悲しすぎず、ふざけすぎず、というバランスを持った話だと思います。ぜひお読みください。角田光代さんの本は、まだ読んだことがないなあ。今度読んでみます。
いしいしんじは、さて、子供が読んでも面白いかどうか(^◎^;)。ちょっと怖いかも。わけがわからんかも(^◎^;)
2008/05/31(土) 11:26 | URL | たこぶ(^◎^) #-[ 編集]
「八月の蝉」じゃなく「八日目の蝉」でした(^_^;)読んだくせに間違えるなんて・・・。アマゾンにレビューを書いた人たちみたいに泣きもしなかったし、主人公のやったことを認める気にもなれませんが、前半は「どうなるんだろう〜」ってことで読めました。
いしいしんじは私が読んだ方がよさそうですね!
読みかけのカーレド・ホッセイニの「君のためなら千回でも」と伊坂幸太郎の「ゴールデンスランバー」がなかなか進みません。伊坂幸太郎は読まれたことがありますか?映画化された「死神の精度」も読もうと思っているのですが、私には合わないのかも。「アヒルと鴨のコインロッカー」も映画だけ見て本は挫折しました。話題の本でもダメなものはダメなんでしょうね。
いしいしんじは私が読んだ方がよさそうですね!
読みかけのカーレド・ホッセイニの「君のためなら千回でも」と伊坂幸太郎の「ゴールデンスランバー」がなかなか進みません。伊坂幸太郎は読まれたことがありますか?映画化された「死神の精度」も読もうと思っているのですが、私には合わないのかも。「アヒルと鴨のコインロッカー」も映画だけ見て本は挫折しました。話題の本でもダメなものはダメなんでしょうね。
2008/06/01(日) 21:09 | URL | Jenny #X8gfSewQ[ 編集]
Jennyさん(^◎^)
伊坂幸太郎は、文芸誌「エソラ」に載っていた「魔王」を読みました。迫力のある書き手という印象です。読み手によって、好き嫌いはあるでしょうね。それも、かなりはっきり(^◎^;)
「ゴールデンスランバー」も興味あるのですが。図書館では予約がいっぱいのようです(^◎^;)。
伊坂幸太郎は、文芸誌「エソラ」に載っていた「魔王」を読みました。迫力のある書き手という印象です。読み手によって、好き嫌いはあるでしょうね。それも、かなりはっきり(^◎^;)
「ゴールデンスランバー」も興味あるのですが。図書館では予約がいっぱいのようです(^◎^;)。
2008/06/01(日) 21:28 | URL | たこぶ(^◎^) #ss2qavp2[ 編集]
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