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1月の読書

気がつけば、2月。プロ野球のキャンプインも始まりました。

何も更新しないうちに1ヶ月近くが経ってしまいました。
何か障害があったわけではありません。はい、いたって元気です。
ただ更新をサボっていただけ。

というわけで、ともかくも忘れないうちに(すでに忘れているものもある)感想文。

【その場小説】いしいしんじ(幻冬舎)

いしいしんじが「その場小説」をやっているというのは、エッセイなんかで知っていたけれど、まさかそれがまとまって出版されるとは思っていませんでした。ライブで、即興で作った小説なんだから、その場で消えてくものと勝手に思い込んでいましたから。
そして出来は、というと、これがいしいしんじらしさが全面に出ているというか、不思議な感覚がとても心地良かったりするのです。


【猫鳴り】沼田まほかる(双葉文庫)
【九月が永遠に続けば】沼田まほかる(新潮文庫)
【彼女がその名を知らない鳥たち】沼田まほかる(幻冬舎文庫)
【アミダサマ】沼田まほかる(新潮文庫)

沼田まほかる、という作者のことは全く知りませんでした。「九月が永遠に続けば」でミステリー大賞受賞。詳しい経歴などはウィキに任せるとして、遅い作家デビューというのが気に入ってまとめて読んでいるところです。
「猫鳴り」は、温かいんだか冷たいんだかわからない手ざわりがあって、ちょっと他とは違うなという印象でした。
「九月が永遠に続けば」は、ミステリーの筋立てや設定なんかはやや強引なんだけど、それを補って余りある筆力に圧倒されます。
「彼女がその名を知らない鳥たち」も同様。妄想と現実の境目が恐ろしい話です。
「アミダサマ」になると、ホラー要素が満載になります。すべてが説明されつくされるわけではない、というところが恩田陸的ですが、もっとおどろおどろしいというか、生々しい世界になっています。僧侶の経験が生きているのかもしれません。
深みにハマると、恐ろしいけれど面白い作家です。


【美女と竹林】森見登美彦(光文社文庫)
【太陽の塔】森見登美彦(新潮文庫)

自称「妄想作家」森見登美彦の作品も、このところお気に入りになりました。ただ続けて読んでいると、同じような妄想が同じような筆致で書かれるので、「またか」と思わないこともないです。それも楽しみの一つなんですけど。


【ネジと人工衛星-世界一の工場町を歩く】塩野米松(文春新書)

わたくしの住んでいる東大阪の、町工場の社長さんたちの話です。今の時代、中小企業が生き残っていくのは大変だろうと思うのですが、ここに紹介された人たちはいたって平気な顔でやり過ごしています。それぞれが独自の技術を持っているからでしょう。その一方、「職人気質」とは無縁のような語り口にも共感が持てます。この技術、会得するのは大変じゃないです、誰でも出来ます、時間はかかるけど。そんなセリフが心地いいです。


【優雅なハリネズミ】ミュリエル・バルベリ(川村真紀子訳・早川書房)

海外作品はこれひとつ、ということに今気づきました。
舞台はパリ。アパルトマンの管理人のルネは、夫をなくしてひとり暮らし。優高な教養と知性を持ちつつ、それを隠して「管理人」を演じて暮らしています。一方、住人家族の一人である12歳の少女パロマは、両親や学校に希望が持てず、家に火を放って自殺する計画を立てています。管理人と住人という二人は、ほとんど直接な接点はありません。ところがある日、日本人のオヅが引っ越してきて、二人の世界は微妙に変化していきます。
静かな語り口調と先が読めない展開。主人公の生きかた(ハリネズミのような)に共感してしまいました。今月のイチオシにしておきましょう。


【見知らぬ国へ】北杜夫(新潮社)

北杜夫のエッセイ集。傾倒したトーマス・マンのこと、父斎藤茂吉のこと、物故した友人のこと、創作ノートなどあれこれ。どこか優しくてどこか寂しい。この作者の人柄が出ています。


【コツツボを買いに】すえまさか(日本文学館)

短編童話。ニンゲンとドウブツの話なんだけど、ちょっと説教臭いかも。


いつも書くことですけど、読書は自分の楽しみのためにするもので、人生の義務ではないと思っています。だから「本を読まない奴はバカだ」とかいう論理は全く当てはまりません。
ただ、本を読むといろんな世界が開けてきます。もちろんそれは別に映画を観たってそうなるし、音楽を聴いたってそうなるし、絵を見るだけでそうなる人だっているでしょう。それは人それぞれ。
ときどき本屋で見かけるハウツー本で、「どう読むか」なんてものがあるけれど、どう読もうが人の勝手だろうと思うのです。要は、読んで楽しいのかどうか。楽しければその内容が人生を豊かにしてくれる。
芸術とはそういうものだと思うのです。
(万一楽しくなくても、人生の糧にはなるでしょう)
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