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4月末からの読書

GWはもっと本が読めると思っていたけれど、それほどたくさんは読めませんでした。とはいえ、ふとした時に本を手にとって読もうという気にはなります。

【ふる】西加奈子(河出書房新社)

アダルトビデオの「ぼかし」を入れる仕事をしている花しす(かしす)。その人生の時々に出会った人々。しかしそれらは花しすの記憶からうすれていくらしい。「新田人生」という名前の人がしょっちゅう出てくるのだが、それぞれが別人らしい。その変わった名前を見ても、何も思い出さないのですね。それが不思議。そして空から降ってくる言葉。なんとも不思議な作品です。でも、こういうのわたしは大好きですね。ええぞ、西加奈子。


【あしながおじさん】ジーン・ウェブスター(谷口由美子訳・岩波少年文庫)

初めて読みました。とても面白かった。どうせ教訓的な話なんだろうと高をくくっていましたが。どうもすみません、という感じです。とてもいいフレーズがあったので、珍しいことですが書き留めてしまいました。

「人生で最も大切なものは、はなばなしい大きな喜びなんかじゃありません。ささやかな喜びの中に、多くの楽しみを見つけることがとても大事なんです。--あたし、幸せになるほんとうの秘訣を見つけました。おじさん、それはね、今を生きる、ということです。いつまでも過去をくやんだり、将来を思い悩んだりするのではなくて、今、この瞬間を最大限に生かすことです。それは農業に似ています。範囲の広い農業もあれば、中身の濃い農業もあります。そこで、あたしはこれから、中身の濃い人生を過ごそうと思うんです。一瞬、一瞬を楽しみ、自分が楽しんでいるとき、自分が楽しんでいるのが自分にわかるようにしたいんです。たいがいの人たちは、生きているというより、競争しているだけです。地平線のかなたにある、ゴールをめざして、必死で近づいていこうとしています。そこへ早く行こうとするあまり、息切れして、ハアハアいっているので、通りがかりの、まわりの美しい、おだやかな景色を見る余裕がありません。そして、はっとわれに返ったときはもう、すっかり年とって、くたびれきっていて、ゴールに着こうが着くまいが、どうでもよくなっているというわけです。でも、あたしは途中で腰をおろし、少しずつ幸せを積み重ねていくやり方をとることに決めました。たとえ、偉大な作家になれなくても、です。あたしがこんな哲学的なことをいうようになるなんて、驚かれたでしょう?」


【ピッピ 南の島へ】リンドグレーン(大塚勇三訳・岩波少年文庫)

南の島でのピッピのくらし。ま、いままでどおりですね。楽しいけど。


【茗荷谷の猫】木内昇(平凡社)

あまり期待しないほうが、いい本に出会うのかなあ。これ、面白かったです。
東京の下町(じゃないかもしれません。何しろ地理には疎いので)での、ある家の年代記。江戸の末期に「染井吉野」を生み出した元武士から始まって、高度経済成長期にいたるまで。連作集なんだけど、各編がとても強いつながりがあるわけじゃない。ただ表題にある「猫」が、ときどき狂言回しのようにでてくるだけです。
どれも面白い話だけど、わたくしが一番気に入ったのは、「隠れる」ですね。他人と関わり合いたくないと思っているのに、周りが勝手に関わり出すというところが、とても面白いです。
それから、この本を読むと、昔の作家(内田百閒とか江戸川乱歩とか)の作品を読みたくなりますね。そう思わせるくらい面白いです。


【ビブリア古書堂の事件手帖~栞子さんと奇妙な客人たち~】三上延(メディアワークス文庫)

ビブリア古書堂シリーズ第1作。人見知りで他人との会話もままならないけれど、いざ本のことを話しだすと饒舌になる古書店の美人店主・栞子さんと、活字アレルギーながら、その古書店でアルバイトをすることになった語り手・大輔。古書をめぐる様々な事件を、栞子さんが明晰な頭脳で解いていくという「安楽椅子探偵」もの。それに加えて、様々な古書の(取引についても)面白さも満載。さらには栞子さんの家族(特に母親)の秘密というのが、シリーズ全体の謎になっていて、シリーズはまだまだ続きそうですね。はい、ちょっとはまってます。


【緑のさる】山下澄人(平凡社)

バスに乗ったら、おばあさんのバッグから緑色の猿が。そして赤い夕陽(違ったかもしれない。忘れた)。そういう色んな色が撒き散らされた文章。で、なんの話だっけ? とよみ進めていくと、最後に、なるほど、そういうことなのか、ということに一応はなるんだけど。これが面白いかどうかは、難しいなあ。


【眺望絶佳】中島京子(角川書店)

はい、東京の話です。屋上から見た風景? いえいえ、最初はスカイツリーさんです。そして締めはもちろん東京タワーさんです。東京にはいろんな方が住んでおられます。面白いのはスカイツリーさんと東京タワーさんでした。


【われはロボット(決定版)】アイザック・アシモフ(小尾芙佐訳・ハヤカワ文庫SF)

なにが「決定版」なのか、よくわかりませんが。未来のロボット心理学者・キャルビンの回想録。SFの古典ですね。アシモフは、科学的な面白さよりも、ミステリー的な面白さが際立っているような気がします。でも「ロビィ」のような、心にぐっとくる話も、作れるんですよね。


【連続殺人鬼カエル男】中山七里(宝島社文庫)

「さよならドビュッシー」の作者の、もうひとつのデビュー作ですね。猟奇的な連続殺人事件。現場に残された子どもじみたメモ。殺人の連続性がクローズアップされるに連れて、不安にかられていく住民たち。
いやあ、はっきり言って、やりすぎです。ミステリーというより、エンタメ小説ですね。不安に駆られた住民たちが暴動を起こすなんて、ちょっと考えられないですけどね。やっぱりミステリーは「起こりそうなこと」の方が面白いです。ついでに言うと、題材の取り方も、謎解きも、既視感がたっぷりでした。


【蜩ノ記】葉室麟(祥伝社)

直木賞受賞作。些細な事で友人と口論となり、屋敷内で刃傷沙汰を起こしてしまった庄三郎。家老の命により、藩の家譜を清書する仕事を手伝うことになる。だが、その任にあたっている戸田秋谷は、3年後に切腹することが決まっていた。庄三郎はなぜ秋谷のもとに使わされたのか。そして秋谷が起こした事件の真相は?
というミステリータッチの時代小説です。難しい藩の事情や人の名前などは適当に読みながら進んでも、話の面白さは分かります。元郡奉行で、村人の尊敬も篤い秋谷の監視をするはずが、段々とその人格に感化されていく庄三郎、というありがちな展開ですけどね。
それと、どうしてもぬぐえないのが、「力の弱い村人たちに救いの手を伸べる、よくできたお侍」という図式ですね。そして責任をとってというか、世のため人のために働いたあとは、すべての責任を背負って腹を切って、ああ賢人、というのも。ま、そんなことに目くじらを立てても仕方がないですが。
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