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12月の読書

年の瀬も押し迫ってきました。今年ここまで読んだ本は140冊余。それぐらいしか読めないということなのか、もうちょっと頑張ればもっと読めたのか、よくわかりません。ここ数年はこのくらいのペースなので、これが自分のペースなのかなという気もします。本当はもっと読みたい。一日に5冊でも10冊でも読みたいところですが、そういう能力はありません。速読法とかいうのもハウツー本がいろいろ出ていますが、たいがいはビジネスに役立たせるためにとかいう方向で、本当に内容までしっかり楽しめて、ということになるとある程度の時間は割かないといけないようです。もっとも、読書は楽しみでやっていることなのですから、それにいくら時間をかけてもいいと思いますけどね。速読法は「時間がないけれど読まなければならない」必要のある人のためのもので、楽しんで読むぶんには何時間でも楽しめばいいのでしょう。

【安部公房とわたし】山口果林(講談社)

今更こういう本を書かれてもなあという気もしますが、おおかたの関係者が故人となって、一区切りを付けたい気持ちもあったのでしょう。こういう本は時折正妻(あまりいい響の言葉ではないですね)に対する対抗心のようなものが全面に出てきていたりして、書いている方はそんなに思っていなくても、読んでいる方には言葉以上のものが刺さってきたりすることがあります。もちろん、立場が逆で、同じように対抗心が出てきているものもあります(「らも」とか)。
また、そういうライバルがいなくても、個人に対する感情が強すぎて、読んでいる方が息苦しくなる時もあります(「紅梅」とか)。
そういうのを読むと、まあそこまで感情的にならなくてもなあ、なんて思うのですが、この本はどちらかと言えば淡々とした語り口です。そうなるとそれはそれで、もっといろいろあったんじゃないかという憶測を浮かべてしまいます。読み手とは勝手なものですね。
若いころ安部公房を好んで読んでいた読者としては、著作の過程でこんなことがあったのかとか、あんな風にしていたのかという発見の面白みはあります。

【初恋ソムリエ】初野晴(角川文庫)

「ハルチカ」コンビシリーズの第2弾。だんだんこの話にハマってきました。血生臭さがないのがいいです。そのうえユーモアのセンスもいいですね。ほどよく面白いです。吹奏楽の全国コンクールを目指す弱小無名高校の吹奏楽部に関わる、一癖も二癖もあるような登場人物たちと、その人達に関わる様々な謎解きのブレンドの具合がまたいいです。作者の才能を感じますね。

【ビブリア古書堂の事件手帖4-栞子さんと二つの顔】三上延(メディアワークス文庫)

このシリーズも4作目です。なんだかシリーズ物だらけですね。で、4巻目になって主人公栞子さんの母親というのが登場します。これが栞子さん顔負けの本マニア。今回は短編の連作ではなく、一つの長い話になっているのですが、さて、これ、どうでしょうね。ミステリとしてはちょっと行き詰まりのようなものも感じ始めています。まあシリーズ物の宿命なのでしょうが、謎の部分がだんだんと狭まってきているのですね。そして、シリーズの整合性というものもあるのでしょうが、説明のような部分が長くなってきているように思いました。ただ、シリーズを読み進めてきた読者としては、この先どうなるのだろうという期待は相変わらずあるんですけどね。

【おとなりさんは魔女】ジョーン・エイキン(猪熊葉子訳・岩波少年文庫)

かなり古い作品です。結婚したときに願ったことは「退屈しない人生を送りたい」「できれば月曜日ごとに変わったことが起きるとか」なんてこと。するとそれがすっかりかなってしまって、とんでもない不思議なことが次々に起こるのですね。朝起きてみたらユニコーンに庭を占領されていたとか。
まあファンタジーなんですけど、面白いところはそういう不思議なことが起こることが、全く秘密じゃなくて、町中の人が「ああ、またあのお家に変なことが起こったよ。そういえば月曜日だしなあ」となっているところですね。
それにしても、本当に奇想天外なことをよく思いつくものだと思います。エイキンはイギリスの児童文学者で、このシリーズ(アーミテージ一家の話)は続編も出ています。楽しそうなんだけど、でも、同じような話をいくつも読んでもなあ、という気もしますけどね。

【ミレニアム3-眠れる女と狂卓の騎士】スティーグ・ラーソン(ヘレンハルメ美穂 山田美明訳・早川書房)

ついに3部作を読み終えました。ふう。
今年読んだ本の中で、一番面白かったといえますね。物語の中心は謎解きではなく、公安警察の一部秘密組織と、リズベットとミカエルを中心としたグループとの対決ですね。盗聴や隠し撮り、マスコミ操作、時には実力行使。経験や権力や装備から考えて圧倒的な有利にあると思われた公安グループとどう戦うかが読みどころ。特に裁判の部分は読み飛ばせない面白さでした。リスベットのキャラクターは絶大ですね。コフイフヒトニワタシハナリタイかも。
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