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【翼をください】原田マハ(毎日新聞社)

1937年、初の世界一周を目前に行方不明となった女性パイロット。その2年後の1939年、世界一周を成し遂げた日本の飛行機とそのクルー。実はこの2つの偉業には、知られざるつながりがあった。

史実をもとにして全く新しい物語を作り上げるのは、「楽園のキャンバス」でも見られた手法。この作品がデビュー間もない作だということだから、これを描き上げる過程でその腕を磨いたのかもしれませんね。

前半はアメリカの女性パイロット(モデルはもちろんアメリア・エアハート)の物語。後半は日本の飛行機クルーの話で、全く違う物語が2つくっつくのかなと思いきや。。。。
(ネタバレになるのでこれ以上は書きません)

まあ小説では何でもありなんですけどね。

それにしても、ちょっと気がかりになるのは、アメリカの世界一周計画が軍事目的を主眼とするものとして批判的に捉えられているのに対し、日本のそれがやや美談的になっていることかな。太平洋戦争前の物語。もちろん日本の航空事情も、軍事目的なしにはありえなかったはず。
そういう事情とは関係なく、日本人のクルーは理想に向かって飛び立ったのだ、と言われてもなあ。

まあ小説ですから。すべてを「美しい物語」としても、罪はないのですが。
(それでも最後まで読んで、感動してしまったのだから、なんとも言い訳のしようがないです)

【小公子】【小公女】バーネット(脇明子訳・岩波少年文庫)

五十を過ぎたおっさんが電車の中で岩波少年文庫の可愛い表紙の本を広げて読んでいるのは、傍から見たら変人としか思われないでしょう。それでも読みたいものは読みたいのです。

有名な物語なので、内容は言うまでもないと思いますが、本の裏表紙にある文章を引用しましょう(これくらいの引用はいいでしょう)。

小公子「アメリカで生まれ育った少年セドリックは、一度も会ったことのない祖父のあとつぎになるために、イギリスに渡ることとなった。貴族である祖父は高慢で頑固な人物だったが、セドリックの無邪気で温かい心にふれ、しだいに変わっていく」

小公女「ロンドンの寄宿学校でみんなから「公女さま」と呼ばれていたセーラだが、孤児になったとたん、下働きとしてこき使われる身に。つらい毎日に耐えていけたのは想像力のおかげだった。誇りと友情を失わなかった少女に起きた奇跡とは」

物語としてはどちらも教育的な内容で、「貧しさや困難にめげず、自分より他人のことを思いやる気持ちを大切に生きていけば、いつかは報われますよ」ということを教えているだけ。
でも、最近、こういう話って多いような気がする。
こういう話を、誰もが欲している時代なのかもなあ。
いろんなドラマ(最近は見ていないけれど)やバラエティ(見ていない)でのテーマが、友情であったり、絆であったり、思いやりであったり希望であったり、というのは昔からあるんだけれど。
いっときは、それはどこまで信用できるのか、という空気もあったけど、最近はそれを信じてみよう、というようになっているような気がします(気がするだけ?)。

で、そういう話の展開は昔からちゃんとあるわけで。この「小公子」「小公女」は、その典型でしょうね。

ただ、話の進み具合は2つの作品でかなり異なっています。
元々が貧乏暮らしだった「小公子」のセドリックに対し、「小公女」のセーラは元々が裕福な家庭で育っていて、突然の破産と父親の死によって見よりも財産もなくして貧乏暮らしになってしまうという設定です。
それよりも大きく違うのは、セドリックはどこまでも純真で、人を疑うことや憎むことや蔑むことなどは考えもつかない少年なのですが、セーラはもうちょっと大人びていて、教師であるミス・ミンチンや同級生のヴァイラのことは激しく嫌っています。
どちらかと言うと、「小公女」の方が、勧善懲悪物語の様相がはっきりしていますね。
「小公子」には、結局のところ本物の悪人は出てこないのですが、「小公女」では「敵」ははっきりしています。

さて、どちらが面白いかは人によるでしょう。もちろんどちらも面白い、という人も。
僕は、脳天気とも言える「小公子」が好みですが。

子ども向けの本とバカにしないで、今一度読んでみることをおすすめします。凡百のテレビドラマの台本がこれらの作品の域からほとんど進歩していないことがわかるでしょう。

【大地のゲーム】綿矢りさ(新潮社)

ぼちぼちブログの引越を考え始めています。更新をしやすいものに。でもいつものごとく、考えるだけで実行に移さない、ということもありえます。あまり自分にプレッシャーをかけないでおきましょう。

舞台は大学のキャンパス。学園祭を前にした「私」は「反宇宙派」というグループに所属。彼氏はいるが、リーダーに心惹かれてもいる。しかしリーダーは「マリちゃん」と関係があるようなないような。その「マリちゃん」は学内ではいじめられる対象。それをかばうのは「私」だけ。

なんとなく普通の学園ドラマ風なんだけど、実は大地震のあとで大学内どころか社会全体が混乱中。というところが今までのこの作者の作品とは違うところ。
とはいえ、話の中心は男と女の関係だったりする。それが(この状況ですから)かなり過激に展開されるのだけれど。

「この状況」というのがねえ。いや、綿矢りさの作風には合っているような気もするけれど。でも、こういうシチュエーションではない状況で、このシチュエーションでしかありえないような話が展開するという、矛盾した状態がこの作者の魅力だったようにも思うのだけれど。
いつもより、どんでん返しの強烈さがなくて。まあよく出来た面白い話ではあるんですけどね。ファンとしては「もっと」と思ってしまうわけです。

【いしいしんじの本】いしいしんじ(白水社)

シンプルなタイトルで、これはまあよくあるいしいしんじの「仕掛け」かなとも思ったのだけれど、内容はごくシンプルに、いしいしんじが色んなところで書いた書評を集めたものでした。

どこか決まったところに書いたものを集めたわけではないので、気に入った本などはダブって紹介されています。おかげでどんな本を気に入っているのかがよく分かる。

そして、さすがに書評となるとまじめに書いているので(普段が不まじめというわけではありませんが)、この著者の本音のようなものもかいま見えます。それがとても楽しい。

ついでに、自身の読書歴なども語られていて、広い意味での読書案内として楽しめます。
もう図書館に返してしまって、あ、あの本、なんていう題名やったかなと思い出せずに、ちょっと悔しい思いをしています。

【スカイ・クロラ】森博嗣(中公文庫)

久しぶりの森博嗣。映画(アニメ)にもなったベストセラー。
未来(多分)のどこかの国の、戦闘機乗りの話。それがどこの国なのかは明らかにならないし、なぜ戦闘機同士が戦うのかの説明も、戦闘機乗りがどういう人々なのかも、語り手である主人公がどういう能力を持っているのかも、一切の説明は最後まで読まないとわからない(最後まで読んでも、なんとなくわかるだけ)

こういう書き方は嫌いじゃない。ひとり語りなら当然許される書き方だろう。突然出てくる「キルドレ」というのがどういう人間のことを言うのか、興味を持ってしまったら最後まで読むしかないのである。

ふと立ち止まれば、心に残るフレーズもいっぱいある。ちょっとカッコつけ過ぎのようなところもあるし(戦闘機乗り、というところからしてカッコつけすぎ)、やや哲学めいたところもある。
しかし全体に漂うのは、主人公のやや投げやりな、運命に流されているような、醒めた空気である。
それは「クール」というのとはちょっと違う。もっと冷えきっている。

なぜ戦争は終わらないか、なぜ戦い続けるのか、という疑問とともに、こうする以外なにができるのかという諦め。
もちろんここで「戦争とはなにか」「平和とはなにか」という議論は湧き上がってこない。戦争も平和も「ただそこにある」ものとして捉えられている。その視点は、どうかすると恐ろしいものである。

現実は、恐ろしいものだということを、読み終わったあとに感じてしまった。

【まぐだら屋のマリア】原田マハ(幻冬舎)

原田マハはハズレが少ない。と思っている。

料亭で修行をしていた紫紋は、ある事件をきっかけに自殺しようとし、東北の寒村「尽果」にやってくる。しかしそこにあった「まぐだら屋」という定食屋で「マリア」に出会い、そこで働くことに。だがマリアにもまた大きな秘密があったのだった。

いろんな謎かけがはじめにあって、どうしてこうなったのだろうという興味から、どんどん先へ先へと読み進んでしまう。うまいなあ。まぐだら屋の「女将」をはじめとするキャラクターの設定、登場人物それぞれの背後にある物語の絡み方がとても面白い。

決して楽しい話じゃないのに(悲劇ばっかりが起こるような気がする)希望を持たせてくれる。こんな話はそうないだろう。
誰もが何か後ろめたい気持ちを持ちつつ、それでも生きていかないといけないのだ。ということを(ちょっと恥ずかしいくらいに真面目に)教えてくれている。

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少しまじめに、ブログの更新をしようと思い始めています。
あれも書かないとこれも書かないと、と思っていると、逆に書くのが億劫になってしまうので、
ニューヨーク日記は、いつか続きを書くかもしれないし、書かないかもしれません。
ま、どっちでもどってことないでしょうけど。
ともかく。
ちょっと気持ちの切り替えを。

この1ヶ月の読書

ブログはとどこおりがち。とりあえず、書けることを書いておこう。何を読んだか、忘れているものもある。

【クヮルテット】なだいなだ(ちくま文庫)
【老人党宣言】なだいなだ(筑摩書房)
【人間、とりあえず主義】なだいなだ(筑摩書房)
【とりあえず今日を生き、明日もまた今日を生きよう】なだいなだ(青萠堂)
【しんじることと、疑うことと】なだいなだ(ちくま文庫)
【くるい きちがい考】なだいなだ(ちくま文庫)

なだいなださん、こういうとき(どんなとき?)に読むには最適かも。気持ちが楽になる。なんとなく、おかしいなあとか、変やなあとか思うことの内容をはっきりさせてくれる。


【世界を回せ】コラム・マッキャン(小山太一・宮本朋子訳・河出書房新社)

全米図書賞か何かをとったはず。建設中の世界貿易センタービル、そのツインタワーの間にロープを掛けて綱渡りのパフォーマンスをする男。それを見上げる人々。綱渡り男はいわゆる狂言回しで、それを見つめる人たちの人間模様が話の中心。分かり合えない人間どおしの感情(もちろん分かり合えることもある)。
一昔前のアメリカは、バックボーンにベトナム戦争を抱えていたように思う。今は911か。場面設定がそこになるだけで、ある感情が湧き上がるに違いない。全米図書賞も、そういう視点がなくせないのだろうが、外国人である自分が読むには、どうなんだろう。普遍性があるような、ないような。


【これからお祈りにいきます】津村記久子(角川書店)

ちょっと前から津村記久子の書くものが変化があるような気がする。希望の光が、以前はそこはかとなくあるかなしかのものとして光っていたのが、だんだんはっきりとした光になってきたような。抽象的ですみません。


【永遠の0】百田尚樹(講談社文庫)

百田尚樹のデビュー作。天才的な零戦操縦士でありながら、生きることに執着する主人公。しかし彼の最期は、終戦間近での特攻隊でのものだった。なぜ彼は特攻隊に志願したのか。その謎を孫の姉弟が生き残った元軍人たちに確かめに行く。
はじめのうちは硬さがあるなと思ったけれど、途中からどんどん引き込まれて読まされてしまう。やや「英雄視」的な面が強すぎるのでは、という気もするけれど。それと、戦時中の話がやや説明くさいような。ただ、戦争を知らない(わたくしもそう。作者もそのはず)には、これくらいの説明があったほうが話の流れはわかりやすいのだろう。わたくしもそう。


【謎解きはディナーのあとで】東川篤哉(小学館)

ベストセラー作品。ドラマ的。というよりバラエティ的。謎解きはそこそこだが、設定の面白さが生きていない感じ。執事の謎解きなら、アシモフの「黒後家蜘蛛の会」シリーズがあるし、執事と「ご主人様」(この作品ではお嬢様だが)とのやりとりの面白さなら、ウッドハウスのジーヴスものの方が何百倍も面白い。


【ミレニアムⅠ-ドラゴン・タトゥーの女】スティーグ・ラーソン(ヘレンハルメ美穂 岩澤雅利訳・早川書房)

前々から気になっていたのだけれど、なんとなく敬遠していたのだ。何しろ長いし。そして題名からして、とこかオカルト的なものもあるのかなあと、勝手に思い込んでいたのだ。
しかし、実際に読んでみないとわからないものだ。
経済雑誌「ミレニアム」の存亡が物語の一つの柱。もう一つは(この作品では)40年前に起こった少女行方不明事件の捜査。その2つが絡みあいながら物語が進んでいく。
はじめのうちは経済の話などが続いてやや退屈な気もするが、天才ハッカー少女リスペットが登場してからは俄然面白さが増してくる。このキャラは強烈。ついつい続きも読みたくなってしまった。


【最後のウィネベーゴ】コニー・ウィリス(大森望編訳・河出書房新社)
【TAP】グレッグ・イーガン(山岸真編訳・河出書房新社)
【ふたりジャネット】テリー・ビッスン(中村融訳・河出書房新社)

河出書房新社の「奇想コレクション」は、SFをベースとした文字通りの「奇想」小説集。不思議な味わいのものが多い。これはわたくしのお気に入りです。

さて、続けて読み続けよう。

バレンティン!

大阪は大雨。この調子では今日の試合はないのだろうなあと思っていたが、神宮の空は「野球ファンの熱気が台風の勢いを吹き飛ばし」((c)サンテレビ:谷口アナ)今日も試合があったのだった。
タイガース先発は榎田。
なんとなく、予感はしていた。
打たれるのなら、安藤、福原とかのベテランじゃなく、能見、メッセンジャーのエース級じゃなく、というような。半ば願望のような。

そして、それは第1打席でいきなりやってきた。
打った瞬間、それとわかる打球!

なぜか拍手をしてしまった。
なんとなく、気持よかった。
よくぞ打ってくれた。よくぞ「55」の壁を超えてくれた。

この3連戦。
タイガースの投手陣は勝負を避ける事をしなかった。
そこは偉かったな。
プロなんだから、やっぱり「真剣勝負」を見たい。
たとえ「55」が貴重な壁だとしても(そんな風には思わないが。関係者にとっては大事らしい。アホらしいと思う)

そして。
記録はいつか破られるのだよ。
破ろうと思ってみんな頑張るのだよ。
それを、なにかの「宝」のように、後ろ向きに守ることなどないのだよ。

ホームランの瞬間。満員のレフトスタンド、タイガースファンも、燕ファンと同じように拍手喝采で、この歴史的瞬間を喜んでいた。
バレンティンには惜しみない拍手を送っていた。
2回表の守備についたバレンティンが、レフトスタンドのタイガースファンに応えていた。

おお、何と美しきスポーツマンシップ!!
前日の乱闘騒ぎが嘘のようである!(^◎^;)
(昨日のような「ラフプレー」は、もう見たくない。たとえルールに則ったものだとしても)

サンテレビの中継は、珍しく試合後のヒーローインタビューまで放送していたよ。
相手チームの映像などはほとんど流さないことで有名な中継なのに。
まあ、それも納得。
というか。よくぞ放送してくれた。
やや涙ぐんでいるようにも見えるバレンティン。感動的だったよ。
お母さんも、目の前で息子の活躍を見ることができて、よかったねえ。

......

それはさておき。
タイガースの状態は最悪である。
ヒットは単発。ランナーが出ても進塁させるのが精一杯。
ひとりふたりが頑張ったところで、点が入るわけがない。

反対にスワローズは確実に得点を重ねる。
というか。なんですかねえ、今日の投手陣は。
フォアボール → 進塁(ミス、送りバント) → タイムリー
ヒット1本で1点献上。

日本記録更新で賑わった中に、不安と不信が渦巻く。
大丈夫? いや、大丈夫じゃないねえ。
みんな、点の取り方を忘れたみたい。

ファンの心に雨が降る。しとしと。

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